サーキュラーエコノミーな
バイオマス発電を目指して

サーキュラーエコノミーでは、これまで捨てられてきたものを「資源」と捉え、廃棄物が出ず、ものが循環し続けるようになり、環境負荷が減ることを目指します。それだけでなく、企業や自治体のコスト削減、原料の調達における危機回避にもつながります。サーキュラーエコノミーの原則は「廃棄物と汚染を生み出さないデザイン（設計）を行う」「製品と原料を使い続ける」「自然のシステムを再生する」の3つです。

宇宙を含めた地球の営みは、サーキュラーエコノミーそのものと言えます。

レジリエンスとは「外的な衝撃にも折れてしまわずに、しなやかに立ち直る強さ」を言い、復元力・弾力性・再起性などと訳されています。元来は物理用語の1つでした。レジリエンスの概念は、生態系の分野と心理学の分野でそれぞれ発展してきました。

ダボス会議（世界経済フォーラム）のグローバルリスク報告書2013年版では、レジリエンスとは構造安定性、冗長性、人材・資源の豊かさ、反応力、復活力の5つの要因で構成されています。この5つの要因を国家の5つのサブシステム（経済・環境・ガバナンス・インフラ・社会）ごとに見てゆくことで「国家のレジリエンス」の診断やモニタリングができると述べています。一般的に生態系などの分野でレジリエンスの要素として挙げられるのは、「多様性・モジュール性・密接なフィードバック」です。

自然の循環サイクルは、レジリエンスの繰り返しと言っても加減ではありません。レジリエンスを高めることは自然の循環サイクルに従うことにもなり、持続可能な社会における重要な要因です。

SDGsとは「Sustainable Development Goals（持続可能な開発目標）」の略称です。SDGs（エス・ディー・ジーズ）と呼びます。SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年～2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。SDGsが世界でこれだけの広がりを見せているのは、開発途上国だけではなく先進国も、働きがいや経済成長までも踏まえたものだからだと言えるでしょう。

OECD加盟国の状況では、日本の場合が他国に比べて劣っている項目は（5ジェンダー平等、12作る責任　使う責任，13気候変動に対する具体的な対策、15陸の豊かさを守る（陸の環境保護），17グローバルパートナーシップで目標を達成）で、優れている項目は（4質の高い教育、8働き甲斐も経済成長も，9産業と技術革新の基盤作り）です。

当社団では、バイオマス発電事業並びに燃料調達に係る場合は、SDGsの精神である持続可能な社会を前提とした取り組みを心がけています。例えば、液体燃料（パーム油等）の調達ではRSPO認証を得た燃料サプライヤーやサプライチェーンの利用を、木質系燃料ではFSC認証を得た燃料を利用し、持続可能な社会を推進してまいります。(出典：SDGs経営ガイドブック)

※FSCとはForest・Stewardship・Council (森林管理協議会)の略です。

SDGsの考え方は、その企業が今まで必要とされていましたかという観点ではなく、これからも必要とされますかというものです。今、投資家の目が将来の企業価値にどんどん向いています。企業や運用会社とのコミュニケーションにおいて、長期の活動をしています、長期の投資をしています、という表現ではなかなか具体性がないために、ESGという言葉を使っています。ESGとは、環境(E)・社会(S)・企業統治(G)の略です。企業にはESGに関するリスク対応やストラテジーを作ってもらい、それを投資家が評価することが、必然的に企業の長期的な企業価値を評価することになると考えています。

今後、消費者・従業員として、投資家として、そして起業家として、企業をとり巻くステークホルダーの中心となっていくのがいわゆる「ミレニアル世代」です。ミレニアル世代の価値観を捉えることで、SDGs経営又はESG経営の意義がより浮かび上がってきます。

また、一企業だけではなく、行政あるいは他業界との連携を通して、新しい価値を生み出すことが非常に重要になってきます。

当社団では、バイオマス発電事業の資金調達を検討する際は、SBT加盟の金融機関を利用したり、事業展開には地元の自治体や地元企業・住民との連携を重視し、持続可能な社会を推進してまいります。(出典：SDGs経営ガイドブック)

※Science Based Targets （以下、SBT）の略で、科学的な知見と整合する、企業の温室効果ガス削減目標のことです

海外ではプラスチックの生産・使用自体を削減する動きが、さらに加速しつつあります。例えば2018年6月にカナダで開かれたG7シャルルボワ・サミットでは、「海洋プラスチック憲章」が提示されました。「海洋プラスチック憲章」自体は、2030年に向けて先進国各国で海洋プラスチック問題に取り組んでいくための大枠を定めたもので、問題解決には十分な内容とは言えませんが、日本はアメリカと並び、この「憲章」への署名を見合わせました。

しかし、日本では2019年6月に大阪で開催したG20サミットに向け、世界のプラスチック対策をリードしていくことを目指して「プラスチック資源循環戦略」を策定しました。

海外では既に45か国以上でレジ袋の使用禁止が議会承認されています。また欧州連合の下院に当たる欧州議会では、2018年10月24日に、代替可能な使い捨てプラスチック、例えばストロー、食器、綿棒、マドラー等の使用を2021年から禁止する法案を可決。また主要なプラスチックごみである、たばこのフィルターについても2030年までに8割削減するとしています。

最近の国内では大手流通業を中心としてレジ袋の有料化が始まり、買い物客もレジ袋を利用しない傾向が出てきました。外食業ではストローを紙製や木製に変える取り組みも出て決ました。

この問題に関しては、欧州諸国に比べて、また、東南アジア諸国にと比べても日本の対応は先進国とは言えない、周回遅れの感があります。

当社団としては、脱FITをににらみ、ごみを資源と捉えるサーキュラーエコノミーの考え方を前提に、事業計画を策定し、持続可能な社会を推進してまいります。

※サーキュラーエコノミーとは、従来廃棄されていたもの、活用されていなかったものを「資源」と捉え、リサイクルシステムをビジネスに取り入れることで、環境にも経済にも持続可能性を持たせる新しい経済活動です。(出典：WWF　Japan)